ヒロなんとか
10代の頃は映画監督になることが夢でした。
しかしその道を志ざすこともなく結局は普通のサラリーマンになってしまいました。
映画は今でもよく観ます。趣味でたまに小説も書いています。そんな普通の40代会社員です。
承を抜くとどんな名作でも駄作になる。
このことにはすでに高校生のときに気づいていました。
「このあいだ観た映画が面白かった。無名の3流ボクサーがチャンピオンと対戦できることになって、その日いきなり試合をするんだけど案外いい試合ができてしまって、リング上からエイドリアーンって叫ぶんだ」
こんな感じで承を抜いて『ロッキー』のあらすじを説明すると友人はゲラゲラ笑ってくれました。「なんだそのつまらなそうな映画は」と。
友人は『ロッキー』が大好きだったのですが、そんな彼でも承を抜いた『ロッキー』はとんでもない駄作に思えたようです。
友人が大ウケしてくれるのでわたしは有名映画のあらすじを承抜き状態にして次々と話して聞かせました。
そんな遊びをしていた高校生の頃のわたしの夢は映画監督になること。
どうやれば面白いストーリーが作れるのか全然わからなかったのですが、わからないなりに自作シナリオを書いてシナリオコンクールに応募してみたりもしました。
でも箸にも棒にもかからず。
それで映画監督の夢はいつの間にか消え、気づいたら普通のサラリーマンになっていました。まあよくあるお決まりのパターンです。
ふたたびストーリー作りへの情熱がわきあがってきたのはインターネットが登場してから。
当時ブログをはじめる人が多かったので、わたしも自分の近況とか観た映画のこととか書いてみることにしました。
他の人のブログをのぞいてみると、中には自作小説なんかを載せている人もいました。
それでわたしも小説を書いてみようと決意。自作映画をつくるのは大変だけど小説ならお金もかかりません。
小説はたまに読んでいたけど書くのははじめてでした。そのせいで最初は文章にかなり苦労しました。でも書いてみるとやっぱり楽しい。小説を書くことで久しぶりに情熱がほとばしるのを感じました。
「もっと面白い小説を書きたい。もっと強烈ですごいものを。でもどうやれば面白く書けるのだろう?」
面白いストーリーの作り方を探す旅がここから始まりました。
映画監督になりたかった10代の頃も「シナリオの書き方」みたいな本を買って読んだりしました。しかし当時はお金もなくてそう何冊も買うことはできません。
でも大人になったわたしにはお金がありました。もう本をいくらでも大人買いできる状態です。
世に出回っている入門書をあれこれ買ったので、一時期ウチの本棚にはそうした本がずらりと並んでいました。
こうした入門書を大量に読んで意外に思えたのは、有名な作家が書いた入門書ほど内容がたいしたことないという事実。彼らは才能だけでストーリーを作ってきたのだなとわかりました。
無名のシナリオライターなんかが書いた本の方がかえって基礎を詳しく解説していたりします。
偉い大学教授の物語論なども役に立ちませんでした。理屈だけで終わっている感じ。彼らは実際にストーリーを作ったりはしないからでしょう。
本で勉強していくことで面白いストーリーの作り方も少しは見えてきました。
しかしわたしが高校生の頃に感じていた「承を抜くとどんな名作でも駄作になる」というメカニズムをちゃんと解説した本にはついに出会えませんでした。
その他にも知りたいことは山ほどありましたが、面白いストーリーを生み出す方法論というのは意外と確立されていないことがだんだんわかってきました。
結局わたしの知りたかったことのほとんどは本には書かれていませんでした。仕方がないのであとはもう小説をたくさん書きながら自力で解明していく以外ありません。
わたしがこのサイトを作ろうと思ったのもこの点が動機となっています。知りたいことがたくさんありました。しかしその答えはどの本にも書かれていないし、どのwebサイトにも載っていませんでした。ならばそうしたものは誰かが補っていかないといけません。
村上春樹は小説の中で「文明とは後世に伝えるべき何かが存在すること」と言っています。
伝えるべきものをわたしも持っているなら、それを書き残しておくべきではないか。そう考えてこのサイトを作ることにしました。
少しでもストーリーを作るときの参考になれば幸いです。
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