面白いストーリーの作り方

ストーリー作りが上手くなるための効果的な勉強法

目次

面白いストーリーを作れるようになるためにやるべきことは2つ。

言われてみれば当たり前のことですが、ようするにこれが現実だということです。甘っちょろい魔法などは存在していません。

ストーリー作りに魔法なし。

当たり前の努力をするしかないです。

しかしこの当たり前の勉強法にもちょっとしたポイントがあります。知っていると上達効果が違ってきます。

たくさん作る

一番大切なのは作品をたくさん作ることです。実戦経験が結局は能力を一番向上させてくれます。

英語を話せるようになるにはどうすればいいかを考えてみればわかると思います。買って読むだけで英語を完全マスターできる魔法の書などは存在しません。be動詞がどうだとか関係代名詞がどうだとか書かれた高い本を買っただけで英語がペラペラになるなら誰も苦労しません。

そんな本を読んでいる暇があるならアメリカに1年ほど留学して現地で生活してみればいいんです。実戦経験にかなう勉強法など存在しません。

ストーリー作りも同じです。魔法など存在していません。実戦経験を積むことが最強の勉強法です。

そして重要なのは最後までちゃんと作ること。登場キャラとか世界観だけ作って終わりでは伸びるものも伸びません。

「設定は作ったけどストーリーをどのように展開していけばいいのかわからない」こんな理由で最後まで書かない人がいます。でも書かないとストーリーを展開させる力はいつまでたっても鍛えられません。

最後まで作れないということは、何らかの能力が欠けていることを示しています。途中で書くのをやめるということをずっと繰り返していては、この足らないものが永遠に獲得できません。

そしてもっと怖いこともここで言ってしまうと、最後まで書けない人は基本がほとんど出来ていない可能性が高いです。

主人公は最後どうなればいいのか」のページにも書きましたが、いい結末が作れないのはストーリー全体が弱いからです。結末を作るのが苦手なのではなく、ストーリーの全パートを苦手としている可能性大。基本がほぼ身についていないから途中までしか書けません。

必ず最後まで書きましょう。

全然面白くないストーリーになってもいいので、必ず最後まで書ききって完成させましょう。上手くなるための勉強です。つまらないストーリーであっても書き上げないよりは遥かに訓練効果があります。

最後まで作るのだから当然ながら長すぎるものは適しません。

大長編を完成させるのは時間がかかります。そのせいで数が足らなくなります。大長編1本しか書けなかった人よりも短編を10本書いた人のほうが断然伸びます。経験値が全然違います。

10本書けば10回失敗できます。大長編1本なら失敗も1回だけ。しかも長大な作品だけに自分でも上手く書けたのかどうかわからないまま終わる可能性だってあります。せっかく大長編を1本仕上げたのに何が課題かすらわからないという。

大長編とか長大な連載マンガだけを書いていると「途中まで書いては中途半端に投げ出して終わる」みたいなことを繰り返すような変な癖がついてしまいます。それでは構成や展開が学べません。クライマックスだってまともに作ることなく終わってしまいます。

長すぎないものをたくさん作る。最後まで書く。これが大事。

短編でなくてもいいです。映画ぐらいの長さのストーリーなら書き上げるまでそんなに時間はかかりません。たくさん作れます。

そして書くことに慣れてきたら、今度は面白いものを書くことを重視していきます。初心者のうちは量をこなす大変さを味わうべきですが、慣れてきたら良いものを書く苦労へ切り替えていってください。

書く量は減ってもいいから面白いものを書く苦しみに変えていきます。そうしないと成長は止まってしまいます。

基本を感覚としてつかむことも重要です。とはいっても難しくはありません。書きながらいろいろ感じていればいいだけ。その積み重ねが自分の脳内に感覚を作り上げていきます。

たとえば、島木という登場人物がいるけど、鳥本という登場人物もいる。「似た名前のキャラがいると紛らわしいな」そう感じるだけでもそれは自分の経験値となります。片方を田中という名前に変更するだけで紛らわしさが解消されたら、その一挙にすっきり整理される感覚もいい経験になります。

陸上部の主人公がタイムを12秒台から11秒台へ縮める失敗作を書いたときも、「成長物語のはずなのに全然おもしろくないな」と感じるだけでそれは貴重な経験です。

「タイムが縮まらないので陸上部を辞めようとしている」という展開を付けただけで何となくドラマの予感が生まれてきたなら、その感じもおぼえておきましょう。

「辞める前に一日だけ無断で部活を休む。そういうエピソードを作ったら何だか面白くなった」こうした経験も貴重です。主人公が練習にあらわれない。部員たちは「アイツどうしたの?」みたいに話している。こういう前フリを一発入れてから事件を動かしていくと別の面白さが出ます。前フリを入れる前と入れたあとの面白さの違いを感覚として味わう。これがいい経験になります。

小説を書きながらいろんなことを噛みしめていってください。

映画をたくさん観る

作ることと並んで大事な勉強法は観ること。映画などをたくさん観ましょう。

小説家志望なら小説もたくさん読まないといけません。漫画家志望ならマンガをたくさん読まないといけません。

しかし一番効果を期待できるのはやっぱり映画です。

小説は1冊読むのに10時間とか20時間とかかかってしまいます。マンガも全巻読むにはかなりの時間を必要とします。

効率を考えると映画が一番です。1本の映画を観るために必要な時間は2時間ほど。

テレビで放送しているものなら無料で観れます。amazonなどの動画配信でも旧作なら1本200円ほど。

ストーリー作りを学ぶうえでは映画が最適です。

しかし映画を観て「あー面白かったな」だけで終わってしまってはもったいないです。その映画がなぜ面白いのかを考えるようにしましょう。勉強効果が倍増します。

起承転結を確認してみたり、作品のテーマや主人公の秘めたる想いについて考えてみたり、立ち上げの工夫の仕方や、クライマックスの描き方。参考になることがたくさんあります。

感情移入なんかも確認しておきましょう。その映画を見ているとき自分はどうなって欲しいと願っていたか。主人公にどんな気持ちを持って欲しかったか。クライマックスでちゃんとその願望どおりのことがはたして起きたか。

映画を観終わったらこうしたことを考えるクセをつけましょう。

全然面白くない駄作を観てしまったときも「なぜ面白くないのだろう」と考えることは勉強になります。どうやったらその駄作が面白くなるのかを自分なりに考えてみましょう。

しかしこの「駄作を名作に変える練習」というのはやはり上級者向けではあります。どうやれば面白くなるのかを考えることはやはり難しくて、そう簡単にはいきません。アイデアを足さないと面白くならない場合が多いので。

そこで、初心者でもできる勉強法を紹介しておきます。そちらをやってみましょう。

駄作を面白くするのは難しいので、名作をつまらなくする方法を考えてみます。

起承転結の承を抜くとどんな名作でも駄作になります。こうしたことを観た映画でやってみましょう。

主人公の秘めたる想いを抜いてみただけで突然駄作になってしまう名画がたくさんあります。登場キャラを増やすだけで面白さが機能しなくなる映画もあります。

面白い映画を観たときはいろいろ試してみてください。名作を駄作にするのは簡単なので誰でもできる勉強法です。

たとえば『ロッキー』を観たら、エイドリアンを全米No.1の美女にしてみましょう。テーマがもう全然機能しなくなります。主人公であるロッキーを大金持ちの御曹司にしてみるのもいいです。急にクソつまらない映画になってしまいます。

映画 ダイ・ハード

『ダイハード』ならブルースウィリスを髪の毛フサフサのモテ男にしてみましょう。ブサイクヒーロー感が消えて急につまらない映画に思えてきます。

別居中の妻に会うためにやってくるブルースウィリスですが、仲のいい夫婦という設定に変更してみましょう。なんだか面白さが減ってしまいます。こういう思考実験によってはじめて別居状態という設定が効いていることがわかります。「ひとりだけ助かったブルースウイリスは、自分だけ隠れていて危険を回避することもできる。でも戦う。だから面白いんだな」みたいな発見にもつながります。

なんならブルースウィリス以外にも一緒に戦ってくれる人が5人ぐらいいることにしてみてもいいです。自分だけ隠れて助かるという選択肢がなくなるので、全然緊張感のない映画になってしまいます。

敗戦寸前のナチスドイツが一発逆転を狙ってチャーチル誘拐作戦を決行する『鷲は舞い降りた』もちょっといじれば急に駄作になります。勝利目前の正義のアメリカ軍がヒットラー誘拐を企む話に変えてみましょう。敗者の物語ではなくなるため、なんだか急に退屈なストーリーになってしまいます。

名作映画であってもちょっと改造を加えると途端に機能不全を起こしてゴミみたいな映画になってしまいます。それを自分でもやってみて、実際に肌身で感じてみてください。

名作には何が必要なのか。何がどのように機能しているのか。それが感覚的にわかるようになります。

とくに自分の大好きな作品はあれこれいじり倒してみましょう。好きな作品だけに機能不全を起こす感覚がはっきりとわかり勉強になります。

漫画研究会などに所属していて創作仲間が身近にいるなら、みんなでこういう「名作を駄作に変える勉強会」を開いてみましょう。自分とは全然違う感性で名作をゴミ化してくる人なんかもいて高い勉強効果が期待できます。

映画を見てみんなで感想を言い合うだけでも勉強にはなりますが、好みは人それぞれという部分がどうしても出てきます。好みとかではない基礎原理の部分をみんなで検討することが高い勉強効果を生みます。

『ダイハード』を一番ゴミ化できたヤツが優勝。『ローマの休日』の終わり方を一番後味悪くできたヤツが優勝。みたいに楽しみながらやるとみんなのやる気も出ていい勉強会になります。

漫画や小説やシナリオの専門学校に行くのは無駄なのか

小説の書き方を教えてくれる教室はたくさんあるし、マンガ家を目指す人向けの大きな専門学校なども存在しています。

こうした学校に通って学ぶことは有効なのかどうか?

単純に答えを言うと、お金に余裕があるなら通うのは悪いことではありません。でも経済的に余裕がないならわざわざ行くほどの価値がある所でもありません。

前のページ「面白いストーリーを作れる人が持っている3つの才能」でも書いたように、基本を感覚的にとらえるということをきちんと説明した入門書が存在しません。つまりそれを教えられる先生もいないということ。

「高い授業料を支払うのだから秘伝を教えてくれるに違いない」などと期待すると大きな肩透かしをくらうことになります。専門学校で教えていることも、結局は本に書かれている内容とまったく同じです。枝葉の知識をとりあえずひとまとめにしただけの内容。

たとえば高校の教師だって教科書に書かれていることをただ授業で喋っているだけですよね。自分の発見した数式などを教えている教師はいません。これと同じ構造です。

高い授業料を支払うぐらいならamazonで入門書を買って自分で勉強したほうが安くあがります。学校で教えていることも本に書いてあることも、どうせ同じ内容です。

しかしそんな専門学校にもいくつか利点があります。まず第一に創作仲間ができること。自分とは違うセンスを持つ人たちと交流できるため視野は間違いなく広がります。

お互い競争し合う感じになるのでやる気も出ます。

授業で課題を与えられ、みんなの前で発表することもあります。自分の作ったものに対して意見を言ってもらえるのは非常に勉強になります。同じ課題に対して生徒それぞれがいろんな作品を作ってきます。全然違うセンスにふれるいい機会です。

自分の書いたシナリオやマンガを講師に見てもらって意見を聞くこともできます。

専門学校に行くことは、こういう部分の利点の方がはるかに大きいです。

だからなるべく都会のなるべく生徒数の多い大きな専門学校へ通うことが望ましいです。費用の安さなどで選んではいけません。やる気のある講師がいて、やる気マンマンの生徒がたくさん集まってくるような学校を見つけましょう。

「魔法を教えてもらえるなんて思ってない。創作に打ち込める環境が欲しいだけ。我が家は経済的にもかなり裕福なのでお金も問題なし」そういう人なら、高い授業料を払って専門学校に通うのはアリです。それなりの成果はあります。

しかし結局は自力でやるしかないことは覚悟しておきましょう。冒頭から解説してきたとおり、面白いストーリーを作れるようになるにはたくさん書かないといけないし、たくさん映画を観ないといけません。

努力は全部自分で引き受けるしかありません。

この苦労を回避したくて学校に行くつもりなら、やめておきましょう。お金の無駄です。学校はそういう場ではありません。努力しないといけない量は専門学校に通っても1グラムも軽減されません。

面白いストーリーを作れるようになるための方法は結局この2つしかありません。そしてこれは全部自分でやるしかないものです。

専門学校に行くべきか迷っているなら、自分が今現在どれぐらい努力をしているかがいい判断基準になります。今は全然頑張ってなくて「学校に入学したら本気を出す」ぐらいの甘い考えなら入学はやめておきましょう。

お金の無駄使いにしかなりません。

専門学校はやる気のある人にはいい学習環境を提供できます。しかしやる気のない人に学校側が提供できるものは何もなく、学校にとってそういう人たちは無駄に大金を払ってくれるありがたいカモでしかありません。

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