映画って面白いですよね。小説とかマンガも面白いですよね。面白いからこそお金を出してまでそれを求める人がいます。
ではいったい私たちは物語から何を得ているのでしょうか?
物語のもたらす面白さが私たちの人生をどう豊かにしてくれるのでしょうか?
映画や小説が売れるのは強烈な感情を呼び起こしてくれるからです。
作り手はこのことを理解してストーリーを作っていかないといけません。
ストーリー作りで大切なことは観客の感情を高ぶらせることです。これは感動という言葉でよく言いあらわされます。カタルシスという言い方もします。
どんな言い方にしろ、とにかく観客の感情を揺り動かすことが出来るかどうかの勝負です。
それができたら名作。できなければ駄作です。
日常は平穏にすぎていきます。子供と過ごす時間もだんだん平凡なものに感じ、1日3食たべられることも当たり前すぎて何の喜びも感じなくなります。
人の暮らしなんてそんなものです。
ストーリーはそうした日常ではなかなか感じることの出来ない喜びや悲しみといった感情を湧き上がらせてくれます。
三浦綾子の『氷点』を読んでみてください。子供を持つ母親なら絶対泣きます。
そして普段はなかなか実感できない子供の大切さや家族の愛おしさを実感できます。かなり強烈なかたちで感じることになります。
子供が大切だなんてことはみんなわかっています。家族が大事だってみんな知っています。でもそれを実感する機会がないんです。
日常はあまりにも平穏に過ぎていくから。
物語はぼんやりとした日常に形をあたえ、目の前に何があるのかを実感させてくれます。
ここに物語の価値があります。
日常では感じ取ることがなかなか出来ない実感を物語があたえてくれるのは、テーマを通して人生を描いているからです。
テーマによって人生の本当の姿を浮かび上がらせます。
みんな自分が何者かわからず過ごしています。でもそれは本当にわからないのではなく、見えなくなっているだけ。時間が流れていることや、少年時代に終わりが訪れることすら見えていません。
誰もが人生のいろんなものを見落としています。
人間の頭脳は優秀なんだけどやっぱり限界もあって、普通に日常を送っているだけでは人生の本当の姿など見えません。よくわからない状態のまま日々を過ごしていくことになります。
自分の歩んできた人生が正しかったのか間違っていたのかすらわかりません。
映画や小説は普段見えないものを見せるだけの力を持っています。湧き起こることのない感情を呼びさます力を持っています。
そうしたものに触れさせてあげるからこそ、物語には価値があるんです。
いろいろ書いてきましたが、基本講座はこれで終了です。
「もっと高度なことも学びたい」そんな人もいるかもしれません。そういう人は電子書籍で発売中の物語の才能【応用編】を手に取ってみてください。サンプルとして第一章の全文もサイト内に載せておきます。興味のある人はのぞいて見てください。
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