面白いストーリーの作り方

面白いストーリーは起承転結の4幕構成になっている

目次
物語を立ち上げる
承前半 間違ったことをして苦しむ
承後半 間違いに気づきはじめる
転結 想いが強く出る

面白い映画や小説やマンガは4幕構成になっています。

よく知られた起承転結という形ですね。

しかし承は前半と後半に分けたほうが理解しやすいので、分けて認識しておきましょう。

転と結は逆に統一したほうがスッキリします。

つまり、

  1. 承前半
  2. 承後半
  3. 転結

この四幕構成です。

たとえば『ロッキー』を起承転結であらわすと次のようになります。

【起】
人生をあきらめている無名ボクサーが世界チャンピオンと対戦できることになる。


【承前半】
練習を開始するけど上手くいかずトラブルに。


【承後半】
人生をあきらめたままでいいのかと思いはじめ、最後まで戦い抜こうと決意。


【転結】
チャンピオンとの死闘。戦いきったロッキーはリング上から「エイドリア~ン」と叫ぶ。

起は物語を立ち上げるパート

起の役割は物語を立ち上げることです。

これからどんな話が始まるのかを観客に理解させる。それが起の役割です。

『ロッキー』でいえば、無名の3流ボクサーがタイトルマッチに挑む話だと観客がわかってくれれば起は終了。

「人生をあきらめている30歳の男がチャンピオンに挑戦できることになったぞ」と観客が理解した瞬間に物語は立ち上がり、起の役割は終了します。

承前半は主人公が間違ったことをして苦しむパート

承前半の役割は主人公に間違ったことをやらせて感情移入を強化すること。

間違いを犯している姿を見せられると観客はそれが正されることを望み、ストーリーに引き込まれていきます。承の前半で主人公は間違ったことをして苦しまないといけません。

ロッキーだってせっかくのタイトルマッチを最初は断ろうとします。

練習を始めてもついていけず無様な醜態をさらします。

トレーナーとも喧嘩します。

当然です。ふがいない人生を歩んできた無名の3流ボクサーなのだから。

承の前半ではこのように主人公は壁にぶつかり苦しみます。これはストーリーを面白くする上でも、テーマを描く上でも、非常に大事なことです。

承後半は間違いに気づきはじめるパート

承後半の役割は変化しはじめる主人公を見せること。

主人公はやっと自分の間違いに気づきはじめます。

このきっかけとなる出来事が承前半から承後半へ移るときに起こります。ミッドポイントというやつですね。この名前は聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。

ハリウッドの脚本家シド・フィールドが提唱した概念ですね。物語の区切りとなる出来事のことをさします。

「面白い映画の場合ちょうど中間あたりで大きな出来事が発生する」シド・フィールドはこうした法則を発見し、世に広めました。

物語はミッドポイントによって大きく動いていきます。間違ったことをしていた主人公がミッドポイントの事件をきっかけに自分の間違いに気づきはじめます。

ミッドポイントを挟んで流れは大きく変わっていきます。間違いに気づきはじめた主人公は新たな想いを心に形成していきます。

転結は主人公の想いが強く出るパート

転結の役割はカタルシスです。観客に感動を与えるパート。

そのためにやるべきことはひとつだけ。主人公の想いが強く溢れ出すシーンを作らないといけません。

『ロッキー』でいえばダウンしたロッキーが必死に立ち上がろうとするシーンですね。「人生を取り戻したい」というロッキーの気持ちが強く溢れ出て、その想いが観客に強く伝わるシーンになっています。

4幕構成のポイント

紹介した4幕構成がストーリーの基本です。起こる順番も必ずこの並びのとおりです。

  1. 承前半
  2. 承後半
  3. 転結

入れ替わったりはしません。永遠に変わることのない基本形です。

それぞれの配分はあまり気にする必要ありません。25%ずつでもいいし、どこかのパートが長くなってもいいし。

ただし起のパートだけはあまり長くならないよう気をつけましょう。物語というものは、とにかく早く立ち上げないといけません。スピート勝負です。だから起はコンパクトにまとめるほど良い仕上がりになります。

対して4幕目の転結は火力勝負です。どれだけ主人公の想いを強く出せるか。強く出すことが出来れば出来るほど面白い作品になります。

立ち上げはスピード勝負。クライマックスは火力勝負。

この基本は頭に叩き込んでおきましょう。

3幕構成ではただ頑張るだけの話になってしまう

4幕構成がストーリーの最小単位となります。

「シナリオの書き方」みたいな本を読むと3幕構成とか7幕構成とか13幕構成などいろんなスタイルを見かけます。

しかし基本を学ぶ上では最小単位でおぼえることが重要。余計なものは全部削ぎ落として、でも必要なものは全部入っている。それが最小単位です。

7幕とか13幕などは無駄に分割しすぎていて逆に混乱するだけ。自分の書いた小説をチェックするときわざわざ13個にバラして各パートを確認したりするでしょうか。

7幕とか13幕は無駄が多すぎるので応用と考えるべきです。

一方で、4幕構成よりもっとコンパクトな3幕構成というものもあります。序破急などといった呼び方も存在します。しかし3幕構成は注意が必要。3幕ではテーマが入りません。そのせいで主人公がただ頑張るだけの話になってしまいがち。

3幕では足りません。頑張るだけの話で終わらせないためには、もうひと幕が必要。

シドフィールドがせっかくミッドポイントというものを見つけたんです。承を前半と後半にわけて4幕構成で頭に入れておくべき。

3幕構成という考え方では中盤の変化が生まれません。ミッドポイントの扱いも甘くなります。

ミッドポイントを境にしてストーリーに大きな変化が起きます。ミッドポイントは中だるみ防止のための余興ではありません。ミッドポイントを挟んで流れがガラッと変わります。

承前半と承後半は別物だと考えておきましょう。面白いストーリーを作ろうとするときミッドポイントは極めて重要です。

つまらないストーリーなら3幕構成でも作れます。でも面白いストーリーは4つの幕で構成しないと作れません。テーマが入らないから。

3幕か4幕かの違いでしかありませんが、数字以上に明暗がくっきりと分かれます。

面白いストーリーの作り方を学ばないと意味がない

面白いストーリーの作り方を学ばないと意味がありません。物語の構成を3幕で学んでしまっては面白さを生む構成を学んだことにはなりません。

ストーリーを作ることなんて実は簡単で、実は誰でもできます。でもテーマを入れてストーリーを面白くできる人は限られています。

たとえば音楽などもそうです。ちょっとした歌を作るぐらいなら誰でもできます。でも名曲は誰でも作れるわけではありません。方法論が全然違うから。

「ちょっと即興で晩ごはんの歌を作ってみろよ」と言われたら誰でもできます。

 

今日は~
ハンバーグが~
食べたいな~♪

 

簡単に作れます。作曲なんてちょろいもの。でも名曲を作れと言われると途端にできなくなります。

ストーリー作りも同じです。晩ごはんの歌なら誰でも作れるように、物語だって誰でも作れます。でも面白いストーリーを作れといわれると非常にむずかしい。

3幕構成で作れと言われたらたぶん誰でも作れます。3幕構成を説明しろと言われてもちょっと経験のある人なら説明できます。でも4幕で作れと言われた場合は何をどうしていいかわからなくなります。4幕構成を説明してみろと言われてもほとんどの人はできません。とくに第2幕目の承の役割が一般の人はわかりません。

このわからない部分にこそ面白いストーリーの秘密が隠されています。だから4幕構成は3幕構成よりむずかしく感じられます。

3幕構成で考えた方がわかりやすいからと安易に3幕構成を紹介している本がたくさんあります。でも実際は主人公がただ頑張るだけの話の作り方を紹介してしまっています。こうやれば晩ごはんの歌が作れるよと紹介しているのと一緒。

作り手が知っておかないといけないのは晩ごはんの歌の作り方ではありません。名曲の作り方です。面白いストーリーの作り方です。

面白いストーリーを作るためには4幕構成が最小単位です。面白いストーリーはミッドポイントを境にして承が前半と後半に分かれる構成になっています。

こうした基本構成を学んでおかないと意味がありません。

次ページから起承転結の各パートを順番に詳しく解説していきます。それぞれの役割や意味をこの機会に一度ちゃんと学んでおきましょう。

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