小説やシナリオを書くときの構成として知られる起承転結。さらには序破急。
この両者の違いは中盤にあります。中盤を2つに分けて構成するのが起承転結という4幕構成。序破急は中盤を2つには分けない単純な構成です。
「起承転結と序破急、どっちがいいの?」と疑問に思っている人も多いのですが、ストーリーは起承転結の4幕構成で作るものです。3幕では足りません。
起承転結と序破急の違いを知るには具体例を見るのが一番。
「起承転結の「承」とは?」のページで取り上げた白人刑事と黒人刑事のストーリーがわかりやすいので、ここでも例として使用します。
ふたりは殺人事件の捜査のためコンビを組むことになりますが、最初は対立しています。主人公である白人刑事は黒人刑事に対して差別意識を持っています。
最初はお互い反目し合っていますが、ストーリーの後半から少しずつ歩み寄りはじめます。この刑事ものストーリーで一番大事なのはここです。対立し合っていたふたりが捜査をしていく中で絆を深めていきます。
こうした承を経て、クライマックスでは主人公は黒人刑事を助けるため命がけで敵のアジトへ乗り込んでいきます。
わざわざ承を前半と後半に分けるのはこれを描くためです。対立する様子と、認め合いはじめる様子。その変化。
しかしこれが序破急、つまり3幕構成では入りきれません。次のような構成例になってしまいます。
3幕ではこのような意味のないつまらない話になってしまいます。
白人刑事と黒人刑事が対立しているという構図が消えてしまいます。このストーリーで一番大事な部分です。それが3分割の構成では入りきれないんですね。
だから4幕構成です。「承」をちゃんと前半と後半に分けて、対立している姿と、その後の絆が生まれてくる変化を描きます。
「起承転結はよくわからない。3幕構成の方が単純だからわかりやすい。よし序破急で小説を書こう」こんなふうに考えてしまう人は多いです。しかしこれは大きな落とし穴。
ストーリー構成の基本は4幕です。必ず起承転結で書いてください。
感覚的なことではあるけど、物語が3幕だと思っている人は「まず事件が起きて、ふたりの刑事が協力しながら捜査して、最後は犯人逮捕」みたいな考え方になっています。
「白人刑事と黒人刑事が最初は対立している」という発想が出てきません。当然ながらふたりが歩み寄りはじめる部分も書けないし、クライマックスで主人公が黒人刑事を助けるため敵地へ乗り込むシーンも思い浮かびません。
なぜつまらないストーリーしか作れないのかという原因はいろいろあるけど、「ストーリーを3幕で捉えてしまっているから」というケースは非常に多いです。
「起承転結と序破急ってほとんど同じものでは?」と思っている人もいます。
3幕構成と4幕構成が同じもののように感じてしまう原因は、中盤を2つに分けるという点を理解できていないから。
第1幕
第2幕 前半
第2幕 後半
第3幕
こんな感じで真ん中の2幕目を前半と後半の2つに分けたのが4幕構成です。これが理解できていない人は1幕目や3幕目を分割して強引に4幕にしようとします。
第1幕 前半
第1幕 後半
第2幕
第3幕
↑プロローグが加わっただけにしかなりません。
第1幕
第2幕
第3幕 前半
第3幕 後半
↑最後にちょっとエピローグを加えただけの終わり方にしかなりません。
どちらも4幕構成にはなっていません。実質的には3幕構成のまま。プロローグやエピローグを加えて強引に4分割しただけ。
具体例で見てみましょう。最初の1幕目をふたつに分離してしまう失敗をやらかすと、次の例みたいになります。
【起】白人刑事と黒人刑事がいました
【承】ふたりで捜査することに
【転】協力しながら捜査
【結】犯人逮捕
1幕目をふたつに分離したせいで「起」がただの設定説明パートにしかなっていません。いつまでたってもストーリーが始まらない失敗作はたいていこのタイプの人がやらかします。
今度は逆に最後の3幕目を分離してしまう失敗例を見てみましょう。エンディングシーン自体をひとつのパートとして分けてしまっています。この場合は妙にダラダラとした終わり方に。
【起】ふたりで捜査することに
【承】協力しながら捜査
【転】犯人逮捕
【結】町に平和が戻った様子
どちらの失敗も4幕構成にはなっていません。実質3幕のまま。
こうした失敗をやってしまう人は「起承転結の承の役割とは何?」と聞かれても答えられません。だから中盤を2つに分けるという発想に至りません。
起承転結と序破急の違いを知りたりと考えるような人は、ストーリーの構成を学び直すいいチャンスです。面白いストーリーを作る上ではかなり重要な部分です。この機会にしっかり学び直してください。
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